私は、2006年からの2年間をロースクール3期生として過ごしましたが、この2年間は、人生の中でとても大切な時間であったと感じています。ソクラティック・メソッドに怯えながら、必死に膨大な予習をこなす日々。教授や学友と頻繁に議論し、たくさんの文献を読み(時には感銘を受け)、まさに「法律漬け」と呼ぶにふさわしい濃密な時間でした。そこで受けた「教育」は、私にとって、法律家として背骨になっていると実感しています。

ロースクール制度は9年目を迎え、周知のとおり、年々深刻な問題点が指摘されるようになっています。ブログ、twitter などのソーシャル・メディアでも、ロースクールに批判的な言説が多数を占めています。

それらの当否はさておいて、私が残念に思っているのは、ロースクール出身者の声が少ないということです。ロースクールで受けた教育に対し、(私と同じように)好意的な印象を抱いている人も周囲には相当数いるのに、そのような意見はあまり表には出てきません。また、好意的な意見でなくとも、たくさんの「当事者」の声が埋没してしまっている気がしてなりません。

ロースクール問題は、法律家とはいかにあるべきか、そのために専門教育は必要か、必要だとしてどのような教育がなされるべきか、その教育はどの機関が担うべきか、といった理念的な問題が複雑に絡み合っていて、解きほぐせない糸の様相を呈しています。

そのような困難な問題に、少しでも、「当事者」の声を届けていけたらと思っています。

弁護士 亀田 康次